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2019.10.27

コラム

学校の英語教育をどのようにすればよいか

現在の学校の英語教育は、文法や英単語中心の学習などと細分化されて、ネイティブスピーカーのように会話できることを目的とした総合的な学習が確立されていません。また、スピーキング・ヒヤリングの学習が極めて少ないのも大きな課題です。今回は、この学校の英語教育をどのように変えていくべきなのか考えてみます。

英語の教育改革が急務

現在の中学・高校では、英単語を覚えることと単語を正確に書くこと、英文を読むこと、英文法を覚えることなどをしています。そして、英語のテストでは、英語を黙読し、意味を理解し、問いに答えることをしています。このとき、英語を話したり、聞いたりすること(最近は、ヒアリングを試験に入れているようですが)にほとんど重点が置かれていません。このように英語の意味や文法だけを日本語と対にして暗記してもネイティブとの会話や映画やBBC、CNNを聞くときにはほとんど役に立ちません。そのため、1日も早くこの日本の英語教育を変えるべきです。そうしないと、また同じことが永遠に繰り返されることになります。その意味で重要な点の1つは、英語教育の中にヒアリングとスピーキングを入れることでしょう。今一部にこれを取り入れて教育されているところもありますが、バランスがうまくいっていないところが多いと思います。たとえば、中学時代にはほとんどなく、高校になって、多少会話の授業を入れても意味がありません。

受験の中身を変革するのも必要

まず、1つ重要なのは、受験の中身の変革でしょう。受験が今の体制すなわち、黙読をして答える方式が多いとスピーキングを勉強することが必要なくなってしまいます。なぜなら、受験で良い点をとるためには、スピーキングに時間を使うのが時間の無駄になってしまうからです。これを変えないと日本全体がこのままの英語教育の現状のままになります。そのため、英語教育の目的を変える必要があります。現在の英語の勉強は受験が目的です。そして、ここでは、考える場所で英語の翻訳作業をしているだけです。すべての英語教育がこの手段となります。私たちは、英語教育の目的をコミュニケーションすることとすべきだと考えています。もちろん、読むことも必要ですが、スピーキング、ヒアリング、リーディング、ライティングのすべての能力を総合的にバランスよくすべきです。最近ヒアリングのテストを取り入れられてきましたが、この比率が低すぎます。また、センター試験で、スピーキングを入れるということが話題になっています。その意味では、1歩前進でしょう。しかし、これを施行することが難しいので、外部の機関に試験を委託するような話が出ています。

ネイティブスピーカーは、英語教師になり得るか

スピーキングやヒヤリングを教えるためには、英語を教える側の体制も考える必要もあるでしょう。では、ネイティブスピーカーは英語教育を行うことができるのでしょうか。ネイティブスピーカーは、英語の話し相手にはなりますが、適切に英語を教えることはできません。その理由は、きちんと文法や発音記号などについて訓練を受けていないからです。たとえば、私たちが、英語圏に行って日本語を教えるとしましょう。その場合、話し相手にはなるかもしれませんが、きちんとした文法などを教えることができません。これと同じことです。ネイティブスピーカーであれば話し相手にはなれますが、それ以上の英語の教師として適切かどうかは別の要素があるということです。その意味で、英語を教える教師は、正しい英語の文法を習得している必要があります。また、発音などについても、きちんとした発音記号と発音を教えることができなければなりません。ネイティブスピーカーは、言葉をつかさどる場所に英語のネットワークを持っていますが、文法、発音などの正しい知識がありませんので、適切な指導ができないのです。英語を教えるためには、この両方の能力が必要です。また、ネイティブスピーカーが教えるような場合、日本語についても話すことができる方がよいと考えます。特に初等教育などの初めて学ぶ人に対しては、日本語で説明する必要があるからです。その意味では、現在の日本人の英語教師が英語のヒアリングとスピーキングの能力をつけると英語を教える最も良い教師になれると考えます。

日本人の英語教師の養成が必要

日本の英語教育の中にスピーキングやヒアリングを入れるとなると日本人の英語教師の養成が必要となります。英語を話せて、教えることができる英語の教師が必要です。これは、日本語と英語が両方できる必要があります。なぜなら、少なくとも、中学程度では、分からないときに日本語で説明すべきだからです。したがって、現在の英語の教師はすべて、スピーキングとヒアリングができるようにならなければなりません。最近は、若い人でかなりできる人が多くなってきていますので、当面の段階では、その人がスピーキングやヒアリングを担当すればいいのです。また、今後は英語の教師はスピーキングとヒアリングができるかどうかも一つの採用基準とする必要もあるでしょう。

学校でスピーキング・ヒヤリング学習を取り入れるためには、実際の会話で使いこなせるようになるまで継続反復することが必要

私たちが提案しているネイティブスピーカーのようにスピーキング・ヒヤリングできるようにするための英語学習法の1つは、中学で習う程度の1500語を徹底して実際の会話で使えるものにするものです。現在多少英会話の授業を学校で取り入れているところもあるようですが、会話の授業を少し入れた程度では、ネイティブスピーカーのようにはなれません。私たちが勧めているようなレベルすなわち1500語の英語を瞬時に考えることなく使える状態にしてはじめて、ネイティブスピーカーのようになれます。したがって、徹底して使いこなせるレベルになるまで、繰り返し、繰り返し継続反復する必要があります。これまでも英会話の授業を入れている学校を知っていますが、これらはいずれも失敗しています。中学校で、ネイティブスピーカーの外国人に1か月に何回か会話の授業をするものです。しかし、実際にスピーキング・ヒヤリングを習得するためには月に数回では不可能に近いと思います。ネイティブスピーカーは毎日24時間何度も反復継続して言葉のネットワークを作ります。そのため、何度も繰り返し行い、無意識に英語が使える状態にしないと実際のネイティブスピーカーのように会話できるレベルにはなりません。しかし、実際はなかなか毎日のように英会話をしたりするような学習を教育現場で行うことは不可能でしょう。また、そのような環境を学校の授業以外で作ることはかなり難しいことです。そのため私たちは、一人でもスピーキング・ヒヤリングのネットワークを作るための方法として、繰り返しの音読と英作文を勧めています。音読と英作文を繰り返し行い、先に英語だけで理解できる英語のネットワークを作り、そのうえで英会話を実践することでなるべく短期間に効率的にネイティブスピーカーのようにスピーキング・ヒヤリングできるように学習をすることを勧めています。

英語教育の低年齢化は必要か

文部省では、小学校5,6年生から英語の授業をすることを進めています。そしてさらに低年齢化することを考えているようです。おそらくこのようにする考えの根底には、若いころに語学を勉強しなければ、ネイティブスピーカーのようになれないという考え方があるように思えます。英語を若いときに習った方がより英語を習得できるという錯覚があるように感じます。しかし、十数か国語を習得したとされる語学の天才シュリーマンは大人になってから習得しています。年齢とは関係ありません。問題は、どのような勉強法を行うかです。人間は、生まれつき言語能力を持っているので、誰でもこの基本的な能力を使って英語の勉強をすれば、いつでもできるようになるのです。私たちが知っている限りでは、4、5歳の子どもが英語圏に行くとすぐに英語をマスターします。しかし、ある程度しゃべれるようになっても、英語を継続して勉強しなければ、日本に戻ってしばらくするとすぐに忘れます。これまで日本で見た例では、幼稚園で英語を習わせても、継続して勉強しなければ、忘れてしまいます。子どもが途中で行きたくなくなって中断したりもします。もちろん全く意味が無いということではないでしょうが、このように英語をものにできないような例も多く見受けられます。

問題はまずどうやってネイティブの5歳児の基礎のレベルを作るかが重要

長年英語圏にいても英語がまともにできない人が多くいます。その多くが基礎ができていないと考えられます。基礎ができていないという意味は、基礎的な1000語が自由自在に瞬時に使えていない状態をいいます。この1000語は全ての使われる英語の約80%をカバーしているというデータがあります。中学校で習う1000語が完全に理解できたら、すべての英語の80%をカバーできます。おそらく、これは、ネイティブの5歳くらいでしょうか。日常生活については、ほとんど理解することができ、コミュニケーションができます。ただし、この1000語1500語と言っても、私たちが目指すべきなのは、これらの基礎的な単語を瞬時に自由自在に使えるレベルです。したがって、何度も何度も繰り返し行うことが必要となります。それ以上の単語は、それよりも難しい単語は、これがマスターできてから行うべきだと思います。
この1000語~1500語を学ぶときに重要なことは、日常最も良く使う日常会話が網羅されていることがとても重要です。そして、出来るだけ一問一答形式にすべきと考えます。何故なら、この最も良く使う日常会話を一問一答形式で学習することで、実践ですぐに使えるためです。もう一つ重要なことは英作文を行うということです。英作文と言っても、英語だけで入れ替えたり変化させたりすることで、英語だけで文章を自由自在に使えるようにすることが重要です。その後、それらを音読や英会話の実践により、実際に使えるようにすることで、スピーキング・ヒヤリングをできるようにしていくのが最良ではないかと考えます。

今回のまとめ

現在の学校の英語教育の変革が急務と感じます。受験改革、学習目的・学習方法の転換、英語教師の養成などです。特に重要だと感じることは、実際にネイティブスピーカーのように会話できるようにするためという学習目的・学習方法の転換です。私たちは、繰り返しの音読と入れ替えや変化の英作文でネイティブスピーカーと同じように会話をするための英語のネットワークを作るための学習方法を勧めています。また、基本の約1500語に絞って徹底的に使えるようにすることを学校教育の柱に据えることを勧めています。
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