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2019.10.10

コラム

語学学習で文法をどう学ぶべきか


私たちは中学・高校と英語の授業で文法を学びます。しかし、ネイティブスピーカーは使いながら自然と文法に則って会話することができるようになります。では、文法の勉強は何故必要なのでしょうか。また、どのように文法を学ぶのがいいのでしょうか。今回は、英語の学習にとって文法をどのように位置づけるべきかを解説します。

文法の勉強は不要?

私たちは学校で文法を学びます。たとえば、中学時代に

現在・過去・過去分詞
read-read-read
write-wrote-written
go-went-gone
bring-brought-brought

などと覚えたことがあるでしょう。また、

I-my-me-mine
you-your-you-yours
she-her-her-hers

なども記憶にあるでしょう。しかし、文法だけを学習することは不要と考える主張もあります。
例えば、次の2つです。
1つは、語学の達人として有名なシュリーマンが文法だけの学習は間違いだと言っていることです。新潮文庫から出ている「古代への情熱」に以下のように書いてあります。
それから2年間、私はもっぱら古代ギリシャ文学に没頭した。この間、ほとんど全ての古典作家に1通り目を通したが、『イーリアス』を『オデュッセイア』は何回も読み返した。ギリシャ語文法は格変化を規則助動詞おより不規則動詞だけを覚えた。1瞬たりとも、文法規則の勉強で貴重な時間をむだにはしなかったのである。というのは、すべての子どもたちがギュムナージウムで8年間ずっと、いや、ときにはもっと長い間、退屈な文法規則に悩み苦しんだあげく、ギリシャ語の手紙を書けば、何百ものひどい間違いを犯さずにはすまないことを私は見てきていたから、学校でおこなわれている勉強法はまったく間違っていると考えざるをえなかったのだ。私の考えでは、ギリシャ語文法の根本的知識は、実地練習、つまり古典の散文を注意深く読むことと模範的な作品を暗記することだけで身につけることができる。
文法書に記載されているかどうかを知らなくても、私は文法の規則はすべて熟知している。だれかが私の書いたギリシャ語の文章の中に誤りがあると言い出すようなことがあれば、いつでも私は古典作家を引用し、私が使ったのと同じ言い回しの出てくる箇所を読み上げて、私の表現の正しさを証明できる。」(「古代への情熱」新潮文庫、訳者関楠生、34刷、p36)
このようにシュリーマンは、子供たちが文法の学習に時間を費やしてもひどい間違えを起こしていることに疑問を呈し、それよりも実地練習に時間を使った方が良いと言っています。
2つ目は、私たちは文法を知らなくても日本語が話せることです。私たちは日本語のネイティブスピーカーとして日本語をしゃべっていますが、文法を知らなくても困りません。そのため、文法を単なる知識として覚えているだけでは意味がありません。

文法を知らないとスピーキングに必要な英作文ができない。文法は必要だが、使える文法が必要。

しかし、そうはいっても文法を知らなければ、英作文ができません。スピーキングは、英作文を瞬時に行い、それを発音する作業です。そのため、文法は必要です。しかし、ただ文法だけを知識として覚えてもネイティブスピーカーになるという観点からは必要ありません。
私たちは、中学になってから国語で文法を習います。たとえば、未然、連用、終止、連体、仮定、命令などを学びます。しかし、会話をするときには、文法を考えながら話すことはありません。文法を考えなくても私たちの会話は、日本語のルールに則って話しています。これと同じく、英語でもネイティブスピーカーは、英語のルールに則って英語を話しています。
たとえば、「私は私の友達に私の本をあげます。(I give my friend my book.)」という文章があります。日本語では、「は」「に」「を」をつけて、主語、目的語などを決めていきます。これに対して、英語では、単語の順番で主語になったり、目的語になったりします。このように全ての言葉にはルールがあり、これらのルールを文法と呼びます。私たち日本人は、日本語の文法を知らなくても、日本語の文法に則って日本語を話しています。英語のネイティブスピーカーも全く同じです。これと同様にできるようにしなければなりません。私たちが英語でネイティブスピーカーのようになるためには、このように文章の中で使える文法を身につけなければなりません。単に知識として文法を覚えていると、常に日本語を英語に翻訳した時に、文法に則っているかどうか考えながら英語を話さなければならなくなり、かえって文法がネイティブスピーカーになることを妨げるものになってしまいます。文法は、ルールをまとめたものですが、このルールを覚えて効率よく語学をマスターしようとすることに無理が生ずるのです。ある種近代合理主義的な典型的な悪弊です。

最も最良の文法の学習方法は文章の中で使いながら覚えること

文法を正しく位置付けることは、勉強するうえで極めて重要です。この位置付けを失敗すると悪弊におちいりますし、うまくはまらないようにしならが上手にくぐりぬけていく必要があります。そこでお勧めしている最良の文法の学習方法は、文章の中で文法を使いながら覚えることです。英作文をするときに必要最小限の文法を使いながら、文章の中で使いながらネイティブスピーカーと同じように自然と文法に則って使いこなせるようにすることが必要です。

今回のまとめ

ネイティブスピーカーと同じように文法を考えることなく自然と文法に則って会話することが出来るようにするには、文法を使いながら覚えることが必要です。文法だけを暗記しても実際に使いこなせるかどうかは別問題です。そのため、文法は実際に英作文をする中で自然と文法に則って英語を使えるようにすることが重要です。